「……っ

新品の制服を娘に向かって
投げる母親がどこにいるのよ。」






頭に投げられた制服を取りながら言うと









「…ここにいるけど。」








さらっと返され呆れて何も言えなくなった私は制服を片手に黙って寝室から出た。










そのまま二階から降りて、顔を洗えばふと、横にかかっていたスクールバッグが目に映る。







さっき持ってきた制服をスクールバッグと一緒にかけて、朝ご飯の支度を始める。











新しい制服に、新しいスクールバッグ。








気持ちまで新しくなった気さえもしてくる。









ご飯を食べながらも、そんなことばかり考えていた。





すると、横からすっと手がのびてくる。








「晴、時間!」










良い感じに焼けた小麦色の肌と、低い男らしい声がしたと思えば、もう準備をし終えたらしいお兄ちゃんだった。