私たちを乗せたタクシーが、
翔のマンションの前で止まる。


「は? ココ俺んちだし」

「・・・?」

「まっ。
 いいから付いてきて?」



困惑したままの私たちを、悠斗はマンションの中へと連れて行く。



「あ、鍵! …ロック」

翔が鍵を渡す前に、悠斗がマンションのオートロックを解除した―。



「はぁー?
 なんで、ハルが鍵持ってんのっ?」

「まぁ、いいから~」


眉間にシワを寄せる翔を宥めながら、悠斗は私たちの前を歩いた。


それから、

エレベータに乗り、

エレベーターは、翔の部屋の階で止まる。


しかし、

翔の部屋に行くものだとばかり思ってた私の予感を裏切るように、悠斗の足は、前の私の部屋の前で止まる。


そして、持っていた鍵で部屋のドアを開けた―。

「まだ誰も借りてなくて、空き部屋になってたんだ。
 今日だけ、借りてきた」