「手紙をあの時読んでたら、
 今、何かが変わっていたかも知れない。 …でも」

「…でも?」

「この手紙を読んでいても、何かが変わってたとは限らない」

「・・・。」

「私は、ずっと傍にいてくれた悠斗に惹かれることがなかったとは、言い切れない」

「・・・。」

私は一方的に、翔に自分の想いをぶつけた。

「翔が外国に行く事。
 決めるまで、すごく悩んだもの分かった」

「私のこと考えてくれてるのも分かったよ」

「でも、、、」

「今の私は、もう半年前には戻れないの」



私が一人で話し終えると、翔は少しの沈黙の後、

「…オレの半年間は、無駄だった…のかな?」

呟いた―。



「今……。
 
 一番大切なヒトが、愛おしいヒトが、こんな近くに居るのに。 抱きしめる事も出来ないなんて…さ」

潤んだ瞳をさせた翔に、

「・・・ごめんっ」

私はこの言葉しか掛けれなかった……。