当時。

私には翔とは違う彼氏がいて。

でも、
うまくいってなくって…。


引越しの後、すぐに別れた。





 …ドサッ。


あの日。
私は袋いっぱいにお菓子にお酒買ってきて、悲しさを埋めるためにヤケ食いしようとしてた。


開けっ放しのカーテンを閉めに窓際へと進んだつもりが、窓から見える夜景に誘われ、私はそのままベランダに出て、キラキラと輝いて見える夜景を眺めた。


しばらく夜景を見ていると、『泣かない』って決めてたはずなのに、つい自分の弱さが出てしまった……。



「…すんっ。
 グズッ、グズン…」


瞳からは、勝手にポロポロと涙が零れてきた。



そんな私に、

「…おーぃ。
 もしかして…、泣いてる?」


隣のベランダから聞こえてくる声に私は驚いて、零れてた涙を慌てて拭った。


そして、ゴトゴトと音を立てると、


「く、久保田さんっ?!」


「どーした?
 何かあった??」


翔は隣のベランダからひょいと顔を覗かせた。



「こ、ここ、、10階!!」


驚く私を、翔は無視して


「ヨイショっと」


器用にベランダの壁を乗り越えてきた。