マンションを飛び出して、

真っ直ぐに行ったのは、

買い物をする為のスーパーではなくて、近くの公園だった。



薄暗い公園の外灯の側で立ち止まり、震えた体を腕で止めようとする。



パニックになった頭の中を冷静にさせればさせようとするほど、

分からなくなっていって、

最初に耳に残った


『オレ、来月からオーストラリアに行くから』


という、翔の言葉がリフレーンするだけだった。




ゆっくりと、

 別れようと直接言われたわけじゃないけど、
 一緒に行こうとも言われなかった。
 決める前に話もしてなかった。


そんなことを頭の中で考えてると、

自然と涙が瞳に集まってくる。



零れそうな涙を堪えようと顔を見上げると、

この日は三日月がとてもキレイだった―。