こんな奴にそんな感情、

持つはずないのに。


「もうそろそろ帰るか?」


外を見るともう真っ暗。


「俺、葉月ちゃん送ってくから♪」


北山くんが優しく葉月ちゃんの

肩を抱いてそう言った。


葉月ちゃんはもちろん顔が真っ赤。

可愛いな。

やっぱりこの2人って両想いだよね?


「じゃー俺、雪姫♪」


雨宮も私の肩を抱いて

そう言ってきたけど、


「あたしはいいよ。逆方向だし」


私は雨宮の手を退けた。


「何言ってんだよ。好きな女、送らねーバカ男がどこにいんだよ?」


─ドキッ


余りにも雨宮がバカみたいな笑顔で

そんなこと言うから、

胸が高鳴った。


今のは、違うよ。

ただの……偶然。


好きなんかじゃない。


「じゃ、俺1人かよ?さみしー」


滝川くんが泣き真似をした。

滝川くんってチャラいけど……

案外、面白いし…優しい。


雨宮も…そうかも、しれない。