「……ありがとう。」 小さく優しい声で、先生はそう言った。 『先生より、幸せになってやる。』 黒板にそう書いた。 なんでありがとうなんて、先生は言うんだろう。 俺は何も言わず立ち尽くしたままだった。 しばらくして、先生が音楽室に戻るドアの音がした。 俺はもう一度音楽室のドアの前に立ち、呼吸を整えた。 .