…教室…

「おい。今、血が出てたよな?!」

「うそ…。何で?」

「お前の買って来たパンが原因じゃないよな?!」

高橋が
戸惑う小林を
無視して
坂口に詰め寄る。

「…何?」

「かみそりレターみたいなやつじゃないのか?!
かなり深く切れてたみたいだぞ?!」

「…。」

「何とか言えよ!」

「やめなよ!!高橋!!」

小林が
二人の間に
割って入った。

「そんなパンあるわけないでしょ?!」

「断言は出来ないぜ。」

「それなら封を開けた瞬間に切ってるはずじゃない!」

「それは…まぁ…。」

高橋が渋る。

「椅子かなんかで切ったんでしょ。
まぁ、坂口がかみそり仕掛けたって言うんなら話は別だけど。」

「…んなわけねぇだろ。」

「だよね。はい!この話はおしまい!
あとは、裕子が帰ってきてから!」

小林の一言で
みんな納得し、
お昼を再開する。

「…おい。」

「…なんだ。」

その時、
高橋の唸るような声が
坂口を呼んだ。

「沢村さんに何かあったら…覚えてろよ。」

「…。」

搾り出すような
低い声で
そう呟くと
高橋は席に戻った。

坂口は
大きく一つ
ため息をつき、

保健室に
向かうために

ゆっくりと
教室を後にした。