授業の
休み時間。

周囲を窺う。


「彩夏…。」

「ん?」

「私…坂口君の事、好きなのかも…。」

「おー!!やっと気づいた?」


目を丸くして
彩夏がオーバーな
リアクションをする。


「う…。た、多分だからね。なんていうか…よくわからなくて…。」

「はいはい。本当に可愛いんだからっ。」


優しい目で
私に微笑みかける。

多分、
今の私の心境を
全部理解してくれて
いるんだろうな。


…敵わないな。


彩夏は、
私が考えている以上に
最高の友達
なのかもしれない。

自分も彩夏にとって
自分が彩夏に
感じているような
存在になりたい。

それぐらい
彩夏を特別に
思ってる。

彩夏に
出会えただけで、
私は最高に
幸せなのかもな。


ちく…


また指先が
痛んだ。


またか…。


この事も
彩夏に言ったら
また余計な心配
しちゃうんだろうな。



そんな事を
考えながら、

ふと
前の席を見る。


いない。


また暖炉の前で
友達と話している。



今でも
幸せなのに、

これ以上の
幸せなんて
あるのかな。


でも…
もし、これが
本当の恋なら、

好きな人が
いる自分は

本当に
幸せ者なんだろうと
心底思った。