わたしは彼を知っている。


藤堂陸(とうどう りく)。

同級生だ。



意識もなく。

地面の上に横たわり、
ただ浅い呼吸を繰り返している体。

夜の闇に隠れるように。

夏の熱に溶かされるように。



一瞬。

本当に一瞬だけ死体に見えて、
わたしは叫び声を上げそうになった。