泣き顔にサヨナラのキス

 


突然火がついたように泣き出した赤ちゃんを、みどりは慌てて抱っこして立ち上がる。


「ごめん、カナ。なんか今日は機嫌悪いみたい」


「あ、うん」


あたしは居づらくなって
「また来るから」とみどりの家を出たけれど。


さっきみどりが言ったセリフが脳内を駆け巡っていた。


『浮気と思わずに浮気するタイプ』


そう言えば、孝太は以前デートした女の子と、付き合ってもいないのにキスをしていた。