振り向けなかった。 追いかけてくれないと思ったから。 ひたすら走って、大通りに出ると、タクシーに飛び乗った。 誰も居ない一人きりの部屋に戻ると、声を上げて泣いてしまった。 やっぱり、原口係長は追いかけてはくれなかった。 メールさえも届かない。つまりは、そう言うことだ。 あたしは、ただの遊び相手。割り切っていなかったのは、あたしだけ。 突き付けられた現実が、深く胸を抉っていくようで、苦しくて上手く呼吸が出来ない。 手の中で震える携帯を開くと、孝太くんからのメールを受信していた。