まだ酔っているのかな、あたし。 こんなことをしている自分が信じられない。 「山本さん、俺も男なんだよ」 「わかってます」 「わかってない」 「……好きになってしまいました」 「えっ?」 原口係長はあたしの手首を掴んだまま、困った顔をしている。無理もない。 ミスをした部下を励ましただけで、イチイチ好意を持たれていたんじゃ、堪ったもんじゃない。 また、迷惑を掛けている。そう想うと酷く情けなくて涙が零れた。