泣き顔にサヨナラのキス

 

きっと、原口係長はソファで寝ているから。

そんな確信を持ちながらリビングに入ると……


あたしの気配に原口係長が振り向いた。

「水でも飲むか?」

「……あ、」

濡れた髪の原口係長に見惚れてしまう。


タオルで頭を拭きながら、ソファから立ち上がると冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。

チラリと見えた冷蔵庫の中はビールとミネラルウォーターだけ。

動けずに固まっているあたしに原口係長は「こっちにこいよ」と笑いかけた。


……ダメです。

優しくなんてしないで下さい。

好きに、なってしまう。