泣き顔にサヨナラのキス



取り留めない話をしながら、美味しい料理とお酒を頂く。

滅多にない機会なのに、ミスの事が気になって、今一つ楽しめなかった。


それに気がついた原口係長が「落ち込んでいるのか?」と優しい笑みを作る。

「えっ」

心の中を見透かされているようで、苦しくなって俯いた。


「ミスは誰にでもあるさ。同じミスを繰り返さなければいいだけだと、俺は想うけど」

「……会社にもですが、古賀さんに迷惑を掛けてしまいました」

一言お詫びを言いたくて、待っていたけど、あたしが会社を出るまでに古賀さんは戻って来なかった。