泣き顔にサヨナラのキス

 

チラリと原口係長の横顔を盗み見る。 どうして、あたしを連れていく気になったんだろう。

無害だから? うん。多分、そうだ。


でも、このタイミングは困る。

原口係長にドキッとして以来、出来るだけ意識しないようにしていたけど。


それなのに。

弱っている時に優しくされたら、きっと好きになってしまう。

どうしよう。 もう、報われない恋なんてしたくない。


そう想うのに……


15分後にはお座敷でビールを呑んでいた。