泣き顔にサヨナラのキス



六時過ぎ、会社を出て二人でタクシーに乗った。

会話は特に無く、やっぱり何処に行くのかもわからない。


「あの、」

「ん?」

「何処に行くんですか?」

「ああ、今日はさ、接待用のお店を開拓するのに付き合ってもらおうかと思って」

「呑みに行くんですか?」

「不味かったか?」

「いえ……」

お酒か。今日呑んだら悪酔いしちゃいそうで怖い。