泣き顔にサヨナラのキス

 

原口係長が肘をついて、黙ったままあたしを見ている。

緊張して手が震えてしまった。


「あ、あの……」

「今日さ、化粧手抜きじゃない?」

「はい?」

原口係長の思いがけない言葉に、思いきり間抜けな声が出てしまった。


「何か、あったのかと思って」

何かって、仕事のミスに決まっているでしょ?


あたしが黙っていると、原口係長の薄い唇が弧を描くように開いた。