原口係長が肘をついて、黙ったままあたしを見ている。 緊張して手が震えてしまった。 「あ、あの……」 「今日さ、化粧手抜きじゃない?」 「はい?」 原口係長の思いがけない言葉に、思いきり間抜けな声が出てしまった。 「何か、あったのかと思って」 何かって、仕事のミスに決まっているでしょ? あたしが黙っていると、原口係長の薄い唇が弧を描くように開いた。