泣き顔にサヨナラのキス

 

「山本さん?」

訝しそうに原口係長があたしを見詰める。


「あっ、はい。更新で」

あたしは、慌てて目を逸らした。

ぼーっと見惚れていたのが恥かしい。


「何か困った事や、言いたい事があれば、どうぞ」

穏やかに微笑む原口係長は、特に気にもしていないみたい。あ、そっか。じっと見詰められるのには慣れているんだ。


「……山本さん?」

「え、えっと、古賀さんの隣の席ツライです」

「はっ?」

「……いえ、今日も二日酔いみたいなんです。古賀さん」

それだけじゃないんだけど。古賀さん、多分お風呂にも毎日入ってないし……。


たまに、その体臭で気分が悪くなってしまう。

本人には流石に言いにくくて我慢してたけど。