泣き顔にサヨナラのキス

 

……何なのよ、もう。

さっきまでの苛立ちが、孝太の笑顔で一気に払拭されてしまった。


「何に怒ったの?」

「……何にって。『着いてきて』なんて軽々しく言う言葉じゃないよ。

あたしじゃなくても、誰だって勘違いする。それぐらい大事な言葉だから……」

「うん。わかってる」

「孝太はわかってないよ。だって、プロポーズじゃないって」

「言ったよ。言ったけど、続きを話す前にカナが面白い顔するから」

面白い顔? 本当、失礼しちゃう。


ムッとして、ソッポを向いたあたしの頬を孝太の指がそっと撫でた。