泣き顔にサヨナラのキス

 

孝太を独り占めにしていたい。


この腕も、この胸も。


孝太の瞳に映すのは、あたしだけであって欲しい。


そんなことを真剣に考えていたんだよ。 笑っちゃうよね。


「……カナの考えていることがわからなくて、時々不安になるよ。カナは俺と、どうしたいわけ?」


……どうしたい?って。


その言葉で、プツリと何かが切れてしまった。


必死に押さえ込もうとしていた感情が、そのまま流れ出てしまう。


もう、止められなかった。