泣き顔にサヨナラのキス

 

もう何度、キスを交わしただろう。


深いキスの後、身体を離して孝太が呟く。


「異動になっても、いつでも会えるし……」


いつでも?


その言葉が心に引っ掛かって、ザワザワと不快な音を立てる。

「会えないよ……」

「え」

「今までだって、そんなにデートしてなかったし」

孝太の身体を押し退けて、背中を向けた。


ダメだ、一つ吐き出すと止まらなくなってしまう。


「何?カナ、こっち向いて、ちゃんと話して」