泣き顔にサヨナラのキス

 

梶間食堂を出ると、孝太はあたしの右手をもう一度掴んで、あたしの部屋に着くまで離さなかった。


好きでいてくれるんだよね。それは十分伝わるよ。


だけど、一人になると不安になるのは、どうしてなんだろう。


キスをしていないと孝太を感じられない。


そんなの、苦しいだけ。


孝太に抱きしめられた腕の力にドキリとした。


「カナ、あんまり心配させないでよ」

「心配?」

「山本さんが、カナが酔っ払って大変ってメールを寄越すから」


見上げたあたしに、孝太はそのままキスを落とす。