頭を抱えて、「何をしてるんですか」と呆れたように、あたしを睨む。 「ごめん」 「本人に謝ったらどうですか?ここで、今から」 ……はい? 「もうすぐ、来ますよ。孝太くん」 「はっ?」 「呼んじゃいました」 いつの間に…… 「別れないで下さいよ。 孝太くんがフリーになったら、あたしまた、イヤな女になりそうで。 あんな自分には、もうなりたくないんです」 そう言った山本さんは、どこか吹っ切れたような、それでいて寂しそうな笑顔を見せた。