だけど。 ある一点で原口係長の視線が釘付けになった。原口係長がそこを指で撫でて、ため息を落とす。 「酷い女」 言葉とは真逆の柔らかい表情で、あたしを見詰める。 「え?」 何のことかわからずに、黙り込むあたしに 「これ、キスマークだろ」と呆れたように一言。 ――…キスマーク? そんな! 昨夜、孝太につけられたことに気付かなかった。 「み、見ないで」 ブラウスを慌てて引き上げて、背中を向けた。