泣き顔にサヨナラのキス

    

そして、あたしから離れると「もう、帰っていいぞ」と投げやりな原口係長。


あたしの方を見ようともしない。



濡れたブラウスが素肌に張り付いて、酷く気持ちが悪かった。


だから……



「着替えを貸してください」


自分でも何故そんなことを言ったのかわからない。


まだ帰りたくなかった。 原口係長をこのまま独りにしたく無かった。


あたしも原口係長のことが好き。だけど、原口係長が口にした言葉とは意味合いが違う。