泣き顔にサヨナラのキス



熱い指先が濡れたブラウスのボタンを外していく。


「や、止めてください」


そう言った自分の声が震えていて、余計に動揺してしまう。


原口係長を睨めば、潤んだ瞳で見詰め返されて、また身体の力が抜けていくようだった。


「……離して下さい」


お願いします。離して下さい。こんな形で過ちを犯したくない。


「お前が、好きだ」


その言葉が、胸にグサリと突き刺さった。


ただ、苦しくて、目を閉じる。