泣き顔にサヨナラのキス



身体がそのまま原口係長に抱き留められると、弾みで、グラスの水が半分ほど零れてしまった。

「戻ってこないかと思った……」


あたしの手を掴んでいる腕の力が強くなる。


そして、ベッドに押し倒された。


グラスに残っていた水が、あたしのブラウスを濡らしていくまで、声をあげる間も無かった。


そして、ジワジワと拡がっていく水の冷たさと、唇に感じる原口係長の熱に、あたしの思考は完全に止まってしまった。