泣き顔にサヨナラのキス



朝から鳴りっぱなしの電話をこなしながら、合間に溜め息を吐いた。


斜め前の孝太の席は空いたまま。


課長と一緒に会議室で、一連のクレーム処理の報告中だ。


隣の山本さんは、タイミングを見計らったように、紙ファイルを数冊手に持って立ち上がると、ふと視線をあたしに向ける。


「野上さん、知らなかったでしょう?孝太君がクレームで落ち込んでいたこと」


「えっ?」


あたしが何故、山本さんにこんな事を言われなきゃならないのか、納得が出来ない。


「あのね、」


「梶間食堂にランチ、行きましょうよ。二人で」


挑戦的な態度に、あたしは苛立ちを隠せなかった。