「だから、機嫌直してよ!カナ?ね、カナってば」 「……何で教えてくれなかったのよ?」 その日の退社後、不機嫌なあたしが気になったのか、孝太はあたしの部屋まで着いてきた。 当たり前のように、お湯を沸かして、自分のマグカップにコーヒーを注ぐ。 「で、何?」 「眉毛書いてないこと、教えてくれなかった」 「あ、それ? だって俺は、カナの素っぴん見慣れてるし。 今日はそんな気分じゃないのかと思って」