泣き顔にサヨナラのキス



「じゃ」と言うと、孝太はスーツの上着に手を伸ばした。


……もう帰るの?


もっと、話していたいのに。


そう想っても、引き止めてはいけないような気がして。


だから、あたしも黙って立ち上がった。


口を開けば、「帰らないで」と、情けない言葉を言ってしまいそうだったから。


キッチンを横切ったところで不意に孝太が立ち止まった。