泣き顔にサヨナラのキス

 
 
あたしの肩を押し戻して、孝太は悲しそうに呟いた。


「言えない?」


「……っ」


頭の中では『みどりの家に泊まった』と文章がはっきりと浮かんでいるのに、どうしても言葉になって出てこない。


孝太は不安そうに瞳を揺らした。


「カナの髪からタバコの匂いがするよ」


「あっ……」