「カナが見ていたなんて知らなかった。ごめん」 その場に座り込んで、泣いているあたしを孝太がふわりと抱きしめた。 「山本さんが俺に好意を持っているのは知ってたよ。 はっきり言われたワケじゃないけどね。 でもさ、同じ部署で働く以上、気まずくなるのもどうかとも想って。 なかなか冷たくも出来なかった……」 「だからって、」 「結果的に、カナを泣かせてしまって反省してる。本当に。昨夜の事をちゃんと話すから、最後まで聞いて」 有無を言わさない孝太の強い口調に、あたしは黙って頷いた。