これには孝太も少しムッとしたように、口を尖らせる。 「何で急に怒るんだよ?」 「怒ってない、けど」 「けどって、何?」 「居酒屋に一緒に行こうって言ったのは孝太でしょ?あたし、事務所でずっと、待ってたのよ。 連絡しようにも携帯は繋がらないし。直行するなら一言、言ってよ」 昨夜のイライラが甦って、一気に捲くし立てると、孝太の目も見ずに横を通りすぎた。