孝太に合鍵を渡していたことを忘れていたわけじゃない。 だけどまさか、あたしの部屋に孝太が居るなんて、微塵も想っていなかった。 「おかえり、遅かったね」 あたしの気持ちを推し測るような孝太の声色に、心臓がギクリと音を立てる。 いや、そうじゃない。 後ろめたいからそう感じてしまうんだ。 こんな完全な朝帰りの現場を孝太に見られてしまうなんて。