「あの、な」 さらに、グッと引かれて、あたしは原口係長に抱き締められた。 「ずっと、泣きそうな顔をしているお前を一人に出来ないだろ」 「でも、」 「いいから、黙れよ」 原口係長の広い胸板と筋肉質な腕に閉じ込められて。あたしは、どうすることも出来ずに俯いた。 額に柔らかなものが触れて。それがキスだとわかるまで数秒。 あたしは、原口係長の腕の中にいた。