泣き顔にサヨナラのキス

  

ラフな部屋着に着替えて戻ってきた原口係長は、あたしを見るなり大袈裟なため息を吐いた。


「そんな顔、すんなよ」


「そんな顔って、どんな顔ですか?」


「捨て犬」


……捨て犬ですか。


はは、気分はそんな感じかも。


「コーヒー飲むか?」


立ったままの原口係長を見上げた。


「ビール下さい」