「取り合えず、コーヒーでも飲んで落ち着けよ」 原口係長に促されてタクシーを降りると、足元がふらついて前のめりに転んでしまった。 「……っ」 こんなにダメージを受けている自分が情けない。 「大丈夫か?」 「はは、なんとか」 差し出された手を取って立ち上がる。 想ったよりも力強いその手に、また泣いてしまいそうだった。