泣き顔にサヨナラのキス


 
「ちょっと、孝太。やだっ」


「は?」


「見ないで、恥ずかしいから」


孝太はため息混じりに「何を今さら」と呟いた。


「だって、ぐちゃぐちゃなのよ、冷凍庫の中。
ずっと整理してなくて」


「俺、アイス食べたいし」


孝太は冷凍庫からお目当てのアイスを取り出すと、満足そうに微笑んだ。


ドキッ!


あたしはこの笑顔に弱い。


いや、大抵の女子は孝太の笑顔にキュンとなるはずだ。


本人は全くもって、気が付いていないけれど。