「瞬って二重人格?」
と言うや否や、丸めたノートで頭をスパコーンと叩かれた。
「━痛ッ…。」
「矢沢って黙って普通に居れば綺麗なのに、何で中身はそんなに変なんだ?」
「お前、絶対、好きな男の前ではしゃべるんじゃないぞ。」
碓氷が冷静に言い放ち、丸めたノートを伸ばしながら五十嵐も追い討ちをかける。
イラッとする忠告どうもありがとう。
あまりに混乱していた私は、猛ダッシュで教室へと来てしまっていた。
そこに、ちょうど頭のおよろしい、2人が残っていたので、今見た不思議話を相談したら、ノートが私の頭に飛んできたと言う訳だ。
「瞬以外、誰も居なかったのよ。」
叩かれた頭を押さえ2人を見た。
2人は顔を見合わせ、溜息をついた。
━こいつら、私の事、全然信用してないな。
…パタパタ…。
廊下を走る足音が近付いてくる。
私たち3人は、廊下に意識を向ける。
「おう、武田、書道部今日休みか?」
嫌な、聞き覚えのある声の主が、教室の扉を開け、私たち3人を見て動きが止まる。
「…きゃっ…。」
杉崎の後に続いて教室に入ろうとしていためいが、杉崎の背中に顔をぶつけていた。

