「平気だ」

ああ、転校生の目は綺麗だ。
「そ、そうなの?よ、よく分からないがよかったわ」
転校生の目は綺麗な赤である。
「?」
「だ、だって、好きな人に目を見てもらえないなんて不幸じゃない?」

この目が欲しい。

「ごめんな。俺も好きだよ」

怖い、
この目が怖い。
だったら、
「な、なによ!待たせすぎなのよ!」
怖い、でも綺麗だ。

欲しい。

この目が欲しい。


「え?何?」


俺は、転校生の目に手を伸ばした。
目が欲しい。
綺麗で怖くて、姉に似ているその目が―。
欲しい欲しい欲しい欲しい。
綺麗な目、
姉の目。欲しい。綺麗な。

《終わり》