「それで、
人形なんだけど」

寺崎は、汚れた人形を持ってきた。

なんというか、まがまがしい。
「フランス人形ですか?」
怖い。
怖い。怖い。
一刻も早く、ここから逃げたい。
まさか、フランス人形だとは、思わなかった。



「なんか、家先においてあった」
それは、やばいんじゃないだろうか。
黄色のタテロールに、青色の服。
青色の服は汚れていて、少し破けている。
俺は、人形の目が怖い。
診断名をつけるなら、ガラス目恐怖症であると、思う。
見ていると、発狂しそうになる。
目と、あの無表情な顔。

目さえ見なければ、怖くはないので、出来るだけ目をそむけることにした。



「凄いんだ。捨てても帰ってくるんだ」

「わあ、GPS機能付きですかねー。さっすが、文明の利器」
いや。違うだろ!
それは恐らく、世間でいう、の、呪いのにんgy・・・。

「なぜか、電話がかかってくるんだ。
『今、北海道に居るの』って」

「お前、どこまで捨てにいったんだよ!」


「『ものすごく、さぶいわ。』
って、凄いんだ。
人形と会話出来るんだ」

なんだか、人形がとても哀れに見えてきた。

俺は寺崎の思考回路が凄いと思う。


「で、人形の話を聞いてたら、急に泣きだした。
人形の人生相談が始まったんだ」

人形の悩み聞いてんじゃねーよ。

「ノルマがあるらしい」
なんの話なんだよ。脅かすノルマか?

「人形も、さびしかったんだ」

「さっすが寺崎先輩。器が違いますね!」

器とかいう話じゃない。でも、寺崎信者のこいつには、何も通用しないだろうなあ。

「で、この子の服をみんなで作ろう」

なぜか、人形の服をみんなで作ることになってしまった。

俺は、人形の目が怖かったので、服のデザインのみ考えて、
後はテレビに、集中することにした。