そんな目は、やめてくれ―。 「こっち見なさいよ!」 「なんだよ」 「なんで、見ないのよ!見なさいよ!」 俺は、人形の目と対峙した。 人形の目は赤い。 赤くて綺麗だ。 欠点なんて、何ひとつない。 「やめろ」 「みなさいよ!」 「なんなんだよ、お前は!やめろ!姉様。姉様姉様、姉様の目が。姉様の。 なんなんだよ。見るな。 やめろおお!」 ドンッ―。 気がつけば突き飛ばして。 走っていた。