男は部屋に入ってきた。

「人形のように、しないとね♪」


歌うように男はつぶやいた。

姉の目玉をー。
人形の目玉に。
姉の目が見ている。
男は、人形の目を姉の窪みに入れた。

姉は人形と同じ顔であった。
生気のない。
綺麗な顔。

ガラスの目が、俺を、見ていた。

助けて。と、

ガラスの目が、ガラスの目がガラスの目が―。


「綺麗にしないとね」
内臓を、取り出す。

―グチャリ。
はきそうになった。
悲しみと、吐き気。


しかし、見つかったら殺されるという恐怖のあまり、
俺は、ずっと隠れていた。


もはや、
そこにあるのは、一体の人形であった。姉ではない。

死体を人形に。



「仲間入りだよみんな。名前はどうしようか」
血で真っ赤なドレスの姉。
ダランと。
横たわった。

緑の、

ガラスの目が、俺をにらんでいた。