その日俺達はプールに来ていた。
案の定、水着を持っていない転校生は、スクール水着であった。
そして、お面の代わりに常時、ゴーグルをかけていた。
「待ちなさいよ!」
「なんだ」
「泳げないのよ!私」
「俺も泳げないんだ」
「・・・」
「・・・」

仕方ないから子供用プールで遊ぶことにした。
「かっこ悪いわ!」
「仕方ないだろ。溺れたらどうする」
パシャ。と水をかける転校生。
「ねえ」
「何だ」
「人形の目が怖いのはどうして?」

ああ、いつかは話さなければならないことであった。
俺の恐怖の秘密。
人形の目が怖い理由。


「姉が死んだんだ」
「燃やされたの?」
「・・・」
「あ、ご、ごめんなさい」
不謹慎だと思ったのだろう。転校生は素直に謝る。



見つけてね。
と、言われていたのに。

俺は、見殺しに-。

パシャ。っと顔に水がかかる。

「そ、その。ごめんなさい。お詫びに私のスクール水着あげるわ」
「何故そうなった!」


彼女なりに、俺を励まそうとしたらしい。