隣の人形


言いたいことは分からなくもないが。
よく知りもしない人を、精神異常というのや、
初対面で親友を幽霊フェチだと喚くこの娘もどうかと思うなぁ。


ちらりと彼女をみる。
彼女の、
白い肌は、病的なまでに美しい。
そして彼女の肌にはやはり、痣というか切り傷がある。

俺は確信した。
やはり虐待を受けているのだ。
やはり、そうなのだ。

「寺崎さんは幽霊が好きなのよ?
人間よりもね?
だから姉さんは幽霊になりたいと、言っていたの」

少女は泣きそうだった。


「ねぇあそこの、施設の人達も、みな、幽霊になりたいと、言っていたわ」
グラウンドで、サッカーをやってる声がする。

「寺崎さんが好きだから」


「幽霊になった所で、生きてる者と、死んだ者が一緒に、生きてなんてゆけないのに」



「中には、本当に自殺した人も何人か、いるのよ?
寺崎さんは、他人を死においやってる」

「私の友達も、死んだ」



「許さない」

彼女はそういい。
さっていった。

頭が混乱していた。寺崎が殺人幇助を?


幽霊が好きだから?
分からない。




めりあちゃん達に別れをつげ、寺崎と合流をする。

先ほどの話が頭を巡っている。
ぐるぐると。