「起きた?」 「…」 私は、何といえばいいのか戸惑った。 記憶がない。 「基本的な事柄は分かるけど、 それ以外が分からないよね。 自分の過去というものが、分からないと思うよ」 何を言っているのだろうか。 「…」 私は? 目の前に居る女性は? 「どうやら、感情はなくなったみたいね。異常がないか調べて頂戴」 スーツの女性はいう。 誰だろう。 「はいはいよ」 少年がポチポチと機械をおす。 「どうかしら?」 「異常なさそうだよ」 「そう。なら学校へ戻して頂戴」