―10分後。
「遅いわね、なんなのよ」
「ほら」
ポスっと。渡したのは黄色の浴衣。
なんだか、制服以外持ってないのもかわいそうな気がしたのだ。

「え?ええと・・・」

「趣味じゃなかったら、すまん」

黄色の生地に、赤い風車がついているデザインである。
センス悪かったかもしれない。

「あ、あう。その・・・あり」
「転向祝いだ」

「あ、その、あ・・・」
「着方、分からんなら、寺崎にでも聞け。多分知ってるはずだ」

あうあう言ってる転校生を置き、俺は帰ることにした。