ある日、
浴衣をじーっと見つめる転校生を発見した。
華麗にスルーすることにした。
「待ちなさいよ」

いや、待たない。
気のせいか、転校生が悲しそうな雰囲気を醸し出していた。
お面を相変わらずつけているが、顔の横についている。
顔は恐らく無表情であろう。
怖くて、見れない。

「何だ?」
しかたないから、目線を合わせない様にして、話かける。
「これ、日本の民族衣装でしょ」
「欲しいのか?」
「は、ば、いや。そんなわけないじゃないの」
思えば、こいつは制服以外もってないのかも知れないな。


「青が好きなのか」
「は?なんでよ」
「いや、お前が人形の時、青い服着てただろう」
「はあ?あんなの製作者の趣味よ。私は黄色がす・・・」
しまった。という顔をする、転校生。
顔というか雰囲気だが。
ああ、やはり、こいつ元人形だったんだな。
今更だが。

「わた、私、人形じゃ。ないわよ」
あくまでも隠したいらしい。ばればれなのに。
まあ、本人が隠したいなら。
何でもいいが。
というか、まったく変化のない顔とか、人形以外の何ものでもないだろうに。

「黄色が好きか」
「・・・・」

少しふてくされている、転校生。
誘導尋問卑怯だわ。とか、ポツリと聞こえた。

「待ってろ」
「?」