私が自分の名前の由来を知ったのは物心つく間もないくらい早かった。


なんせ、先祖代々からの決まりがあったから。


それは、「色」を必ず入れる名前にすること。


明治時代より少し前の先祖から決まっていた。


“茜”から始まり、今は私の名前の“黄衣子”まである。


いつも子供が生まれると誰か被る親戚の名前はないかと調べるのが当たり前。


代々医者を継いできた家系に生まれ、行事ごとの親戚との集まりも頻繁にあった。


因みに、今までご先祖様から続いて佐々木家に生まれる子は女ばかりで、私の父親が佐々木家にとって史上初の男だった。


今まで婿養子しかとらなかった家系に初めて嫁をとり、めでたく私が生まれた。


むろん、婿養子は受け継がれてきた医者を継がないといけなくて、佐々木家の女はいつも結婚が遅かった。